台湾FPD(Flat Panel Display)メーカー大手4社(AU Optronics[AUO]、Innolux、Hannstar Display、GiantPlus)の2021年3月実績が出揃い、1~3月期の暫定業績が明らかになった。売上高は4社合計で前年同期比62%増の1769億台湾ドルと、過去最大級の伸びを示した。

 液晶パネル価格の上昇で、4社すべてが前年同期比/前四半期ともに増収を果たし、例年なら不需要期であるにもかかわらず、20年10~12月期の売上高をも6%上回った。四半期ベースの売上高は18年以降で最高を記録し、活況だった17年に並ぶ水準になった。

AUOは前年同期比55%増収

 AUO(友達光電)の1~3月期業績は、売上高が前年同期比55%増/前四半期比3%増の829億台湾ドルだった。出荷実績については、21年から面積ベースでの公表に変更し、1~3月期トータルで同15%増/同6%減の635万㎡となった。

 4月21~23日に台北で開催される展示会「Touch Taiwan 2021」にあわせてマイクロLEDディスプレー「ALEDシリーズ」を発表した。実装ピッチ1.25mm(P1.25)と2mm(P2)の2タイプを用意し、モジュラー設計によって任意のサイズや曲面などに組み立てることが可能。さらに、LED開発企業のPlayNitrideと共同で1.39インチで338 ppiの円形マイクロLEDディスプレーも開発した。スマートウオッチなどのウエアラブル機器や車室内のコンソールなどへの採用を想定している。

Innoluxは66%の増収に

 Innolux(群創光電)の1~3月期業績は、売上高が同66%増/同7%増の838億台湾ドルとなり、20年4~6月期以来3四半期ぶりにAUOを上回った。3月の単月売上高は17年3月以来4年ぶりに300億台湾ドルを突破した。出荷台数は、大型パネルが同48%増/同1%増の3747万台、中小型パネルが同41%増/同2%減の8149万台となり、旺盛な需要が継続した。

 AUOと同様に、Innoluxも「非液晶事業」の強化・拡大に努めている。その1つとして、液晶技術を応用したスマートウィンドウを開発した。センサーとIoT技術を統合し、光の透過率を自在に制御できるもので、商業ビルや空港などの建材、自動車用など様々な用途に活用できるとみている。

Hannstarは2.3倍、GiantPlusも4割増

 Hannstar Displayの1~3月期業績は、売上高が同2.3倍/同12%増の78.9億台湾ドルと、4社で最大の伸びを記録した。出荷台数は、大型パネルが同2.1倍/同39%増の95万台、中小型パネルが同6%増/同3%増の8613万台。出荷の伸びに比べて売上高の伸びが大きく、液晶パネル価格の上昇が寄与したことがうかがえる。

 凸版印刷グループ傘下のGiantPlus(凌巨科技)の1~3月期業績は、売上高が同41%増/同8%増の22億台湾ドルだった。出荷実績は非公表。3月の単月売上高は、19年7月以来20カ月ぶりに8億台湾ドルを超え、19年以降では最高だった。自動車市場の復調によって主力の車載用TFT液晶パネルの需要が伸びていることなどが寄与したとみられる。

 新型コロナで20年上期に需要減に見舞われた車載用TFT液晶パネルだが、調査会社OMDIAによると、20年10~12月期の出荷台数は前年同期比4%増の4300万台となり、コロナ前を上回った。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏