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中堅・中小向けESG投融資、30年度までに10兆円へ=りそなHD社長
りそなホールディングス(HD)の南昌宏社長はロイターとのインタビューで、中堅・中小企業などのリテール向けのESG(環境、社会、ガバナンス)投融資における新規実行額を2030年度までに10兆円とする目標を明らかにした。写真は2017年9月、都内で撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 2日 ロイター] - りそなホールディングス(HD)の南昌宏社長はロイターとのインタビューで、中堅・中小企業などのリテール向けのESG(環境、社会、ガバナンス)投融資における新規実行額を2030年度までに10兆円とする目標を明らかにした。海外市場へのビジネス展開に制約があるため、国内企業の大多数を占める中堅・中小企業の競争力強化を通じて収益向上につなげたい考えだ。
南社長は、新型コロナウイルス感染拡大の影響などで経営環境や価値観、常識が変わる中、りそなHDの顧客基盤の中心である中堅・中小企業も時代の変化に対応、適応していくことが重要だと説明。その中でも特に、世界中で関心の高まるESGとの両立を前提としたビジネスを展開していくことは必要不可欠だと述べた。
その上で、大企業と比べ環境への適応や変化への対応により時間がかかる中堅・中小企業に対して、解決策を提供していくことがりそなHDの役割の1つとの認識を示した。
南社長は、リテール向けESG投融資における新規実行額の目標を30年度までに10兆円と設定したが、「数値が目的化するのは本末転倒」と述べ、中堅・中小企業の競争力を維持することが最優先だとした。その上で、「(競争力の維持が)顧客の成功につながり、りそなの繁栄にもつながっていくという循環」を作ることが大切だと語った。同社は、これまでの実行額については公表していない。
国内では、長引く低金利や人口減少に加え、足元の新型コロナの影響により、金融機関の事業環境は厳しさを増している。そうした中、三菱UFJフィナンシャルグループや三井住友フィナンシャルグループなどのメガバンクは海外ビジネスの拡張を進めている。一方、国内基準行であるりそなHDは、海外支店や海外現地法人を持つことが制限されている。
南社長は、「海外マーケット、特にアジアは非常に魅力的」との認識を示したものの、りそなHDの資本面、経営資源、人材などを考えると国際基準行になることは現実的でないと指摘。同社長は、「メガバンクとは生き方が違うし、それで良いと思っている。メガバンクと同じ戦略で同じ土俵で戦ったら、(勝つことは)難しい」と述べ、同社が強みとする首都圏・関西圏における地域密着型・リテール中心のビジネスで勝負する考えを重ねて示した。
※インタビューは5月26日に行いました。