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米当局、テスラのオートパイロット機能の正式調査開始
8月16日、米道路交通安全局(NHTSA)はテスラの運転支援機能「オートパイロット」 の正式な調査を始めたと発表した。緊急車両を巻き込んだ一連の衝突事故を受けた対応となる。写真は2015年4月、米カリフォルニア州で撮影(2021年 ロイター/Elijah Nouvelage)
[ワシントン 16日 ロイター] - 米道路交通安全局(NHTSA)は16日、テスラが2014年以降に製造した電気自動車(EV)計76万5000台を対象に、運転支援機能「オートパイロット」の正式な調査を始めたと発表した。緊急車両を巻き込んだ一連の衝突事故を受けた対応となる。
NHTSAは、テスラの自動車が「ファースト・レスポンダー(災害や事故に最初に対応する警察・消防隊・救急隊など)がいる場面に遭遇し、1台以上の車両に衝突した」ケースが2018年1月以来、11件に上ると指摘。4件は21年に起き、直近ではカリフォルニア州サンディエゴで先月発生した。17人の負傷者と1人の死者が出ており、19年12月にインディアナ州で起きた死亡事故では「モデル3」が駐車中の消防車と衝突した。
調査は14─21年型の「モデルY」、「モデルX」、「モデルS」、「モデル3」の計76万5000台が対象で、既に予備調査を行っていた。衝突事故を起こした車両は「全て、オートパイロットかトラフィック・アウェア(交通状況認識型)クルーズコントロールが作動していたことが確認されている」とした。大半の事故は夜間に起きており、緊急車両のライトや発煙筒、三角コーンなどが関連したという。
正式調査開始のニュースを受け、テスラの株価は下落し、4.3%安で通常取引を終了した。
調査ではオートパイロット作動中のドライバーの運転への関与を「監視・支援し、徹底させる」技術を検証する。問題が認められれば、NHTSAはリコール(回収・無償修理)を要請し、オートパイロットが作動可能な状況や時間帯、場所などを事実上制限する可能性がある。ただ、リコールを要請する前に調査を技術的な分析に格上げする必要があり、2段階の調査プロセスは多くの場合、1年以上の時間を要する。
<運転支援の正しい使用呼び掛け>
ロイターはテスラにコメントを求めたが、現時点で回答はない。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はオートパイロットに問題はないとの認識を繰り返し示しており、4月には同機能が作動中のテスラ車は事故を起こす確率が平均的な車両の10分の1に近いとツイートしていた。
テスラの自動運転技術ディレクター、アンドレイ・カルパシー氏は20年2月、駐車中のパトカーの非常灯が点灯しているかをどのように認識するかというオートパイロット機能の課題を指摘した。
NHTSAは声明で「現在市販されている自動車はどれも自動で運転することはできない」とし、運転支援機能は安全性を高められるが、「ドライバーは正しく、責任をもって使用する必要がある」と強調した。
一方、民主党の上院議員2人は同日、NHTSAに対し、テスラのオートパイロット機能の徹底調査を求め、調査結果に基づき是正勧告を出すべきだと訴えた。
英紙テレグラフによると、英イングランド南部の学校で同日、テスラの「モデル3」が駐車場で衝突事故を起こし、子供5人と大人1人が病院に搬送された。現地の保健当局は、1人が重体で、その他3人が重傷を負った可能性があると明らかにした。
同紙によると、衝突時に運転席にドライバーがいたかどうかは不明。