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NY市場サマリー(5日)ドル上昇、国債利回り低下 株は最高値更新

2021年11月06日(土)07時00分

[5日 ロイター] -

<為替> 予想を上回る米雇用統計を受けドルが1年超ぶりの高値を付けた。ただ、取引終盤にはリスク選好度が改善し株価が上昇したためドルが下げに転じた。

米労働省が5日発表した10月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月より53万1000人増加した。予想されていた以上の増加幅となり、第4・四半期の初めに経済活動が勢いを取り戻したことをより鮮明に示した。今夏の新型コロナウイルス感染者数の急拡大が収まったことを受けた。

これを受け、ドル指数は一時94.634と2020年9月25日以来の高値を付けた。

ただ、リスク選好が改善し、株価が幅広く上昇したことでドル売りが強まり、終盤は0.096%安の94.234となった。週間では約0.1%上昇した。

TD証券のストラテジストは、今回の雇用統計はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が記者会見で述べた「実質的な一段の進展」と一致していると指摘。ドルが幅広く上昇する条件が整っており、11月の季節的な傾向とも一致しているとした。

ポンドは一時0.5%安の1.34250ドルと1カ月ぶりの安値を更新。終盤は0.07%安。

豪ドルはオーバーナイトの下げから切り返し、0.01%高の0.73995米ドル。ただ、週間では約1.6%下げた。

ユーロは0.08%高の1.15635ドル。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは0.89%安の6万0908.40ドル。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 米債利回りが低下し、イールドカーブ(利回り曲線)はフラット化した。市場予想を上回る米雇用統計を受けた。

指標10年債利回りは7.4bp低下の1.4496%。一時1.436%と9月24日以来の低水準を付けた。

2年債利回りは雇用統計を受け一時0.458%まで上昇したが、終盤は1.6bp低下の0.4008%。先週は利上げ期待の高まりを背景に0.5640%と1年7カ月ぶりの高水準を付けていた。

FRBの利上げ予想に敏感に反応する5年債利回りも一時1.146%に上昇。終盤は5bp低下の1.0539%だった。

米労働省が5日発表した10月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月より53万1000人増加した。予想されていた以上の増加幅となり、第4・四半期の初めに経済活動が勢いを取り戻したことをより鮮明に示した。今夏の新型コロナウイルス感染者数の急拡大が収まったことを受けた。

BMOキャピタル・マーケッツの金利ストラテジスト、ベン・ジェフェリー氏は「経済指標の改善によりFRBがより積極的に金融政策の正常化を進める余地があることが示された。これがイールドカーブのフラット化につながった」と指摘。10年債利回りが1.5%を下回ったことでテクニカル的な買いが入ったとした。

TD証券の金利ストラテジスト、ゲンナジー・ゴールドバーグ氏は、きょうの米債の荒い動きは週末を控えたポジション調整が一因だった可能性があると指摘。「この不安定な地合いは消費者物価指数が発表される来週も続くだろう」とした。

2年債と10年債の利回り差は6bp縮小の104.20bp。5年債と30年債の利回り差は約2bp縮小し83.10bp。3カ月物国庫短期証券と10年債の利回り差は8bp縮小の140.20bpと、縮小幅は7月19日以降で最大だった。

20年債利回りは1.8926%、30年債利回りは1.8857%と、7営業日連続で利回りが逆転した。

米財務省は来週、合計で1200億ドルの3年債、10年債、30年債入札を実施する。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 雇用統計が好調だったことを受け、主要3指数が終値ベースで過去最高値を更新した。米製薬大手ファイザーが開発中の新型コロナウイルス感染症を治療する飲み薬で重症化リスクが大幅に低下したと報告したことも支援要因になった。

S&P総合500種とナスダック総合が終値ベースで過去最高値を更新するのは7営業日連続。週足では、ダウ工業株30種も含む3指数が5週間連続で上昇した。

労働省が朝方発表した10月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比53万1000人増と、市場予想の45万人を上回って増加したほか、失業率は4.6%と、前月の4.8%から改善した。

この日はほかに、ファイザーが開発中のコロナ経口薬「パクスロビド」について、入院と死亡のリスクが89%低下したことを示す臨床試験(治験)結果を発表。ブーラ最高経営責任者(CEO)は緊急使用許可申請の一環として、今月25日までに米食品医薬品局(FDA)に治験の暫定結果を提出するとした。

ホライゾン・インベストメント・サービシズ(インディアナ州)の最高経営責任者(CEO)、チャック・カールソン氏は「今週これまでに見られていた勢いが継続した。雇用統計とファイザーの発表を受け、株式市場に資金が流入している」と述べた。

ファイザーの発表を受け、旅行関連株が買われ、S&P1500航空株指数は7%高。クルーズ船運航大手のカーニバル、ロイヤル・カリビアン・クルージズ、ノルウェージャン・クルーズは約8─9%上昇した。

ニュー・バインズ・キャピタル(ニュージャージー州)のマネージングディレクター、アンドレ・バホス氏は「確定的なことを言うには早すぎるが、ファイザーのコロナ飲み薬はレジャー産業などに対するゲームチェンジャーになる可能性があり、株価に反映されている」と述べた。

S&P500の主要セクターでは、エネルギーが1.4%、工業が1%、それぞれ上昇。ただヘルスケアは1%安と、唯一マイナス圏で終了した。

ファイザーの発表受け、同じく新型コロナの飲み薬を開発するメルクのほか、新型コロナワクチンを製造するモデルナに売りが出たことが背景。メルクは約10%、モデルナは16.6%下落した。

いわゆる「巣ごもり銘柄」も売られ、ビデオ会議サービスのズーム・ビデオ・コミュニケーションズは6.2%安、動画配信サービス大手ネットフリックスは3.4%安。

フィットネス機器販売のペロトン・インタラクティブは35.3%安。パンデミック(世界的大流行)前の生活習慣に戻りつつある中、需要が予想よりも急激に鈍化していることを背景に、通期の売上高見通しを最大10億ドル下方修正した。

画像共有サイトのピンタレストは5.9%高。同社は前日、第4・四半期の売上高伸び率が10%台後半になるとの見通しを示した。第3・四半期決算は売上高が43%増加し、市場予想を上回った。

週初からの上昇率はS&P総合500種が2%、ダウ工業株30種が1.42%、ナスダック総合が3.05%。

ニューヨーク証券取引所では、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を2.16対1の比率で上回った。ナスダックでは1.22対1で値上がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は約115億株。直近20営業日の平均は105億株。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> 米長期金利の低下を背景に続伸した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比23.30ドル(1.30%)高の1オンス=1816.80ドル。週間では32. 90ドル(1.84%)上昇。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> 石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPE Cプラス」の大幅増産見送りや米景気先行き期待などを背景に買われ、4日ぶりに反発し た。米国産標準油種WTIの中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比2.46ドル(3.12%)高の1バレル=81.27ドルだった。1月物は2.43ドル高の8 0.13ドルとなった。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 113.40/113.43

始値 113.84

高値 114.02

安値 113.31

ユーロ/ドル NY終値 1.1566/1.1569

始値 1.1535

高値 1.1573

安値 1.1514

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 102*17.50 1.8877%

前営業日終値 100*26.50 1.9630%

10年債(指標銘柄) 16時58分 98*04.50 1.4548%

前営業日終値 97*16.50 1.5240%

5年債(指標銘柄) 17時05分 100*10.75 1.0555%

前営業日終値 100*03.25 1.1040%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*30.13 0.4048%

前営業日終値 99*29.38 0.4170%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 36327.95 +203.72 +0.56

前営業日終値 36124.23

ナスダック総合 15971.59 +31.28 +0.20

前営業日終値 15940.31

S&P総合500種 4697.53 +17.47 +0.37

前営業日終値 4680.06

COMEX金 12月限 1816.8 +23.3

前営業日終値 1793.5

COMEX銀 12月限 2415.7 +24.6

前営業日終値 2391.1

北海ブレント 1月限 82.74 +2.20

前営業日終値 80.54

米WTI先物 12月限 81.27 +2.46

前営業日終値 78.81

CRB商品指数 235.0043 +1.5530

前営業日終値 233.4513

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