ロシアの「ハルマゲドン」将軍、セルゲイ・スロビキン将軍(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

[ロンドン発]英国防情報部は10月20日、「ハルマゲドン(最終戦争)将軍」の異名をとり、ウクライナ戦争の総司令官に就任したロシア軍のセルゲイ・スロビキン将軍(前航空宇宙軍総司令官)が18日にロシアのテレビに出演し「ウクライナ南部ヘルソンで困難な状況が現れている」と「特別軍事作戦」のマイナス面を強調したのは極めて異例だと分析した。

 スロビキン将軍は占領当局が以前に発表した民間人避難の計画を支持した。

 英国防情報部は「ロシアがドニプロ川右岸から部隊の大規模撤退を真剣に検討していることを示している可能性が強い。撤退作戦の重要課題は幅1キロメートルの川を渡って部隊と装備を整然と引き揚げることだろう」と指摘する。

撤退と領土喪失を正当化するための地ならし

 ドニプロ川にかかるすべての橋梁はウクライナ軍の精密な遠方射撃で深刻な被害を受けた。ここ数日、ロシア軍は撤退のため「ヘルソン近くでバージ(はしけ)を使って完成させた仮設の橋と、数カ所で運用を続けるポンツーン・フェリー(箱船)部隊に大きく依存する可能性が高い」(英国防情報部)という。

 米シンクタンク「戦争研究所(ISW)」も、スロビキン将軍がテレビで、ロシア軍指導部はヘルソン州に関し「難しい決断」をしなければならないと報告し、ウクライナ軍がヘルソン州の民間人や住宅インフラを攻撃する計画を立てていると非難したことについて「ヘルソン州での撤退計画と大幅な領土喪失を正当化するための情報面での地ならし」と解説している。