新著『それぜんぶ企画になる。うしろだてのない放送作家が新しいエンタメで世を沸かす20の方法』で独自の仕事術を公開した人気放送作家の長﨑周成氏

地上波テレビ番組のほか、YouTube、Netflix Japanなどでも活躍中の放送作家・長﨑周成氏が、その来し方と手の内を惜しげもなく明かした著書が話題だ。『それぜんぶ企画になる。うしろだてのない放送作家が新しいエンタメで世を沸かす20の方法』というタイトルの通り、師匠を持つことなくフリーの放送作家となり、2018年4月に芸人のフワちゃんとともに創設したYouTube「フワちゃんTV」が総登録者100万人超えの人気チャンネルとなって、まさに「新しいエンタメで世を沸かす」存在となった長﨑氏のライフストーリーとジョブ理論が紹介されている。

(剣持 亜弥:ライター・編集者)

芸人に挫折し、放送作家として立ち上がる

 31歳、放送作家となって9年目の長﨑周成さんは、「気鋭の」とか「次世代の」といった冠をつけられがちな、今、最も注目を集めるクリエーターのひとりだ。となればこの本も、「人気YouTubeチャンネルの仕掛け人が明かす仕事術」的なビジネス書かと思いきや、そんな単純なものではない。

 学生芸人として夢を抱いて大阪から上京してきた青年が、挫折し、放送作家として再び立ち上がり、「泥水を泥水と思わず、『いつかうまくいく』と信じてがぶがぶ飲んで」、売れるために挑戦を続けていく姿とともに、ものすごく具体的な仕事術が描かれた、エンタメ要素あふれる生き生きとした読み物になっているのである。

「カリスマと崇められる人たちによるトゲトゲしい仕事本、というよりは、枕元に置いて、寝る前に読んでほしい、そんな気持ちで書きました。寝る前に不安になった時や、何も思いつかない時に、パラパラ読んでもらえたら。読んでくれた人からはよく『マンガみたいに読めた』と言われます。いい意味でも悪い意味でも(笑)」

 エッセー風のライフヒストリーとは別に、「ジョブ理論」として20の独立したコラムが書かれている。

 たとえば、芸人を目指していた長﨑さんが作家への転向を決意するまでの顛末が綴られた後の「ジョブ理論②」は「人生を1秒でルート変更する強さを持つ」がテーマ。自分自身を最大限に活かせるルートを探すためには、「わき目もふらず」よりも「隣のレーンを見る」ことがおすすめだと語る。